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2010年05月10日
5月9日。試滑走
助走を始めるゲートの下に立つと、7メートル先の踏み切りラインも、その先に伸びるどろのレーンも、陽炎の向こうの景色のようにぼんやりと見えた。
度入りのゴーグルを着けていたせいもあったかもしれないが、たぶんそればかりじゃないだろう。
今、自分が立っている場所の意味を、これから何秒か後に自分がある姿を、もっとちゃんと考えてみたい。そんな熱望はあった。
でも、スタートゲートの下で右手をあげてしまったんだから時間はない。
走り始める。歩数がうまく合うかとか考えそうになるがやめにする。
長くて短い助走の数歩。走っている実感もないまま、踏み切る。まっすぐなどろの道に向かってヘッドスライディングする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日の夕方思ったことが実現したってわけではない。
今日は競技用レーンのコンディション調整のための試滑走。
どろの深さとか、飛び込み位置のシートの有無とか、いろんな条件でスタッフがスライディングしてみて、ベストなどろレーンを開発しようという試行錯誤の一日なのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本番とちがって板を据え付けているでもなく、ただの滑りやすい泥の段差でしかない踏み切りラインを、左の足の裏が感じた後は、ゴーグルのゆがみの向こうの映像を見続けることしか考えていなかった。
痛くないように低く飛び込んだから、映画『下妻物語』みたいに劇的な視界が展開したわけじゃない。目線がゆっくり下がっていって、赤茶色の泥の地平が近づいてきたかと思った次の瞬間。
ゴーグルの内側でひんむいてたはずの目の前から景色が消えた。
焦げ茶色の闇。
視界はどろで完全にふさがれていた。
何も見えないけれど、体がどんどん滑っているのを感じる。
すーっでもずずずっでもなくむにゅにゅんっでもない。
飛び込んだ直後はそれなりに速く。あとは少しずつゆっくりと。
視界が塞がれ、耳も鼻もテンパッた中、
どろに包まれての移動の感覚だけがあった。
それがなんだかいいんだ。
短いようで長くも感じた滑走の時間もやがて終わる。
やわらかいどろだまりのなか、からだが静止する。
どろのあたたかさを感じる。
世界記録なんて大それたことは希望しない。
それでもけっこう滑ったんだろうな。
そんなことを思っていた。とにかく視界がないから、どろと幸福感につつまれているしかない。
ばしゃばしゃと泥水を蹴る音が耳もとを通り過ぎて止まる。
計測係がやってきたのだ。
「記録は5メートル62。」
えぇっ!もっと行ってると思ったのに!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いちどどろまみれになってしまうと、もうコワイものなんかない。
何度でもチャレンジして、ちょっとでも記録を伸ばしたくなる。踏み切りは片足の方がいいとか、着地した後は体を反らし気味にした方がいいとか、テクニカルな会話が飛び交う。
でも、ほんとうのところは、どろまみれになるのがただただ楽しかったんじゃないかな。
どろだらけの体を、五月の青空の下、シャワーで洗い流すとき、自分でやってもいいものなのに、なぜかシャワーを掛け合ってる姿があちこちにあった。
あれって、グルーミング?
どろのふしぎな感触が、いろんな気持ちを呼び覚ましていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いろんな条件での試滑走の結果、K点越えのトップはさすがメンボーくん。人類初の10メートル越えを記録。沼プロ高橋さんは惜しくもフライングで失格ながら、参考記録はメンボーくんを上回った。
特筆ものなのは、用事を切り上げて急遽参加のタパさんが一発で8メートル越え。
おしゃれな春の装いのハリさんがコールに応えてどろに飛び込んだのもすてきだった。
史上初のローリングどろスライダー•スズキさん。最多試技回数を競った川津越えのスズキさん•ししマリン坂倉さん•グッチさんのお三方。なぞの覆面女子レスラー(?)スどロベリーちゃん…etc.。どろだらけになった全員のこと書いていたら、たのしすぎて朝になってしまいそう。
そういえば、いちばん滑りたがっていたのに故障のため審判委員長だったシライさんも、なんだかんだいってけっきょくどろだらけになっていた。
そして、みんなでどろグルーミング。
今回の反省をいかして、たぶん来週もやります、試滑走。
スタッフは本番の日には滑れないんだから、その前にどろのおもしろさ、満喫させてもらいます。(つづく)
度入りのゴーグルを着けていたせいもあったかもしれないが、たぶんそればかりじゃないだろう。
今、自分が立っている場所の意味を、これから何秒か後に自分がある姿を、もっとちゃんと考えてみたい。そんな熱望はあった。
でも、スタートゲートの下で右手をあげてしまったんだから時間はない。
走り始める。歩数がうまく合うかとか考えそうになるがやめにする。
長くて短い助走の数歩。走っている実感もないまま、踏み切る。まっすぐなどろの道に向かってヘッドスライディングする。
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昨日の夕方思ったことが実現したってわけではない。
今日は競技用レーンのコンディション調整のための試滑走。
どろの深さとか、飛び込み位置のシートの有無とか、いろんな条件でスタッフがスライディングしてみて、ベストなどろレーンを開発しようという試行錯誤の一日なのだ。
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本番とちがって板を据え付けているでもなく、ただの滑りやすい泥の段差でしかない踏み切りラインを、左の足の裏が感じた後は、ゴーグルのゆがみの向こうの映像を見続けることしか考えていなかった。
痛くないように低く飛び込んだから、映画『下妻物語』みたいに劇的な視界が展開したわけじゃない。目線がゆっくり下がっていって、赤茶色の泥の地平が近づいてきたかと思った次の瞬間。
ゴーグルの内側でひんむいてたはずの目の前から景色が消えた。
焦げ茶色の闇。
視界はどろで完全にふさがれていた。
何も見えないけれど、体がどんどん滑っているのを感じる。
すーっでもずずずっでもなくむにゅにゅんっでもない。
飛び込んだ直後はそれなりに速く。あとは少しずつゆっくりと。
視界が塞がれ、耳も鼻もテンパッた中、
どろに包まれての移動の感覚だけがあった。
それがなんだかいいんだ。
短いようで長くも感じた滑走の時間もやがて終わる。
やわらかいどろだまりのなか、からだが静止する。
どろのあたたかさを感じる。
世界記録なんて大それたことは希望しない。
それでもけっこう滑ったんだろうな。
そんなことを思っていた。とにかく視界がないから、どろと幸福感につつまれているしかない。
ばしゃばしゃと泥水を蹴る音が耳もとを通り過ぎて止まる。
計測係がやってきたのだ。
「記録は5メートル62。」
えぇっ!もっと行ってると思ったのに!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いちどどろまみれになってしまうと、もうコワイものなんかない。
何度でもチャレンジして、ちょっとでも記録を伸ばしたくなる。踏み切りは片足の方がいいとか、着地した後は体を反らし気味にした方がいいとか、テクニカルな会話が飛び交う。
でも、ほんとうのところは、どろまみれになるのがただただ楽しかったんじゃないかな。
どろだらけの体を、五月の青空の下、シャワーで洗い流すとき、自分でやってもいいものなのに、なぜかシャワーを掛け合ってる姿があちこちにあった。
あれって、グルーミング?
どろのふしぎな感触が、いろんな気持ちを呼び覚ましていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いろんな条件での試滑走の結果、K点越えのトップはさすがメンボーくん。人類初の10メートル越えを記録。沼プロ高橋さんは惜しくもフライングで失格ながら、参考記録はメンボーくんを上回った。
特筆ものなのは、用事を切り上げて急遽参加のタパさんが一発で8メートル越え。
おしゃれな春の装いのハリさんがコールに応えてどろに飛び込んだのもすてきだった。
史上初のローリングどろスライダー•スズキさん。最多試技回数を競った川津越えのスズキさん•ししマリン坂倉さん•グッチさんのお三方。なぞの覆面女子レスラー(?)スどロベリーちゃん…etc.。どろだらけになった全員のこと書いていたら、たのしすぎて朝になってしまいそう。
そういえば、いちばん滑りたがっていたのに故障のため審判委員長だったシライさんも、なんだかんだいってけっきょくどろだらけになっていた。
そして、みんなでどろグルーミング。
今回の反省をいかして、たぶん来週もやります、試滑走。
スタッフは本番の日には滑れないんだから、その前にどろのおもしろさ、満喫させてもらいます。(つづく)
Posted by ボブポン?イノウエ at 00:50│Comments(2)
この記事へのコメント
どろの魅力は~
どろんこになってしまえば~
恐いものはない~
です!!!
子供は
それを知っているのでしょうか~
大人を黙らすには~
どろんこになってしまえ~
ってリンタロウくんの
すごさに
脱帽です~~~
伊豆の空から
どろんこになってしまえば~
恐いものはない~
です!!!
子供は
それを知っているのでしょうか~
大人を黙らすには~
どろんこになってしまえ~
ってリンタロウくんの
すごさに
脱帽です~~~
伊豆の空から
Posted by 伊豆の空から
at 2010年05月10日 06:24

PS
湿布ありがとうございます(●^o^●)
昨日よりだいぶ楽になりました~
感謝~感謝~です(^_-)-☆
トラバさせていただきました~
伊豆の空から
湿布ありがとうございます(●^o^●)
昨日よりだいぶ楽になりました~
感謝~感謝~です(^_-)-☆
トラバさせていただきました~
伊豆の空から
Posted by 伊豆の空から
at 2010年05月10日 06:26
